新電力会社へ切り替えることで電気代が安くなるのはわかっているが、倒産した会社もあると聞いて新電力会社への切り替えを踏みとどまっている方へ向けた内容となっております。上記の不安に対して、新電力会社で働くサラリーマンがわかりやすく解説していきます。
- 新電力会社が倒産する可能性はある
- 倒産したとしても電気の供給が止まることはない
- 新しい電力会社に切り替えるまで大手電力会社が供給
契約中の新電力会社が倒産・撤退した場合はどうなるの?
多くの方が心配されていることは新電力会社が倒産、撤退してしまって『電気が停まってしまうのではないか』という点ではないでしょうか。
実際に今まで倒産、撤退してた新電力会社はありますが、急に電気が止まってしまうということはないので安心してください。
もし、新電力会社が経営がうまくいかずに電気供給を止めることが決まった場合、供給が止まる15日程前に各家庭へ通知を通知を行う必要があるとされています。また供給が止まってしまってから新しい電力会社への切り替えが完了するまでの間は、関西電力や東京電力のような各エリアの大手電力会社が代わりに電気を供給してくれます。
これらは経済産業省が作成した『電力の小売営業に関する指針』というルールに明記されています。
経済産業省|電力の小売営業に関する指針
とはいえ、いつかは大手電力会社からの供給も止まってしまうので新電力なり大手電力会社と契約する必要があります。契約方法は新電力会社へ切り替えた時と同じ方法で10分もあれば、WEBから申し込みが完了します。
少々手間ではありますが、電力会社を見直すいいきっかけだと思い、再度検討してみましょう。別ページにて電気代が安い新電力会社をランキング形式で紹介しております。
倒産・撤退するリスクが高い新電力会社の特徴
では、なぜ倒産や撤退してしまう新電力会社があるのかについて解説していきます。
そもそも、電力小売事業を始める際は国からの厳しいチェックを受ける必要があるため簡単に倒産、撤退するわけではありません。しかし、実際に倒産や撤退をしてしまう電力会社が存在するのも事実です。
様々な原因がありますが主な直接的な原因は『”自社発電所”を保有しているのか否か』がひとつの大きな原因だと考えることができます。
自社発電所を保有していない新電力会社は、供給している電力の多くを『日本卸電力取引所(JEPX)』から仕入れています。そこで問題なのが電力の市場価格です。電力の需要と供給によって市場価格が上下するので、自社発電所がなく供給している電力の大部分をJEPXに依存している新電力会社はもろに市場価格が高騰した際にダメージを受けてしまいます。結果、電気を供給すればするほど赤字となり経営難に陥り、倒産や撤退をしてしまうという流れです。
電気代が安くなる新電力会社に切り替えたいが、倒産や撤退のリスクが低い会社を選びたいのであれば”自社発電所を保有しているかどうか”を確認して選ぶのがいいでしょう。
それでは、今までに倒産や撤退してしまった新電力会社を例に「なぜ倒産、撤退してしまったのか」、「どのような対応がとられたのか」について解説していきます。
実際に倒産・撤退してしまった新電力会社と理由
大東建託が保持する賃貸物件の入居者を対象に電力供給を始め、当時は26万件もの契約を獲得し販売電力量は新電力会社の中で5位につけていました。
そんな人気の大東エナジーが電力小売事業から撤退した大きな理由は「電力市場価格の高騰」です。自社の発電所を保有しておらず、大部分を市場から調達していました。市場価格の高騰が経営を圧迫することは必然でしょう。
経営が困難になった大東エナジーは2017年8月末には新規申し込みの受付を停止し、同年11月に利用者に「12月に電力の供給が停止するので、それまでに電力会社の切り替えをしてください。」という旨の通知書の発送を開始しました。
2016年10月に福島復興を掲げ設立された福島電力は一時期は5万件以上の契約数がありましたが、2018年4月に電力小売事業からの撤退を発表し、利用者へ他社への切り替えを促しました。やがて同年8月に破産しました。
表向きは順調に事業を展開しているように見えましたが急速な拡大スピードに社内の体制が追いつかず、契約者との間で電気料金の請求遅れやご請求、コールセンターに電話がつながらないなどの問題が相次いだことで破産に追いやられました。